静岡市の社会保険労務士事務所。助成金、給与計算、就業規則なら河合優一郎社会保険労務士事務所。元SEであり、元ソフト開発会社の人事担当者です。

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始末書と顛末(てんまつ)書

お客様である人事担当者から、「従業員に始末書の提出を求めているが一向に提出してこない」とのご相談がありました。

今回は、始末書と顛末(てんまつ)書のことについて書きたいと思います。

始末書とは?

最初にそもそも始末書とは、どのような目的があるか確認したいと思います。

始末書は、就業規則の懲戒処分に該当した従業員に謝罪文を書かせる意味合いが強いです。従業員は懲戒処分に該当する「悪いこと」をしたわけですから、会社はその従業員に謝罪を求めるのです。

例えば、遅刻や無断欠勤を繰り返す場合だったり、労働時間中に映画、パチンコなど
まったく関係ないことをして仕事をサボっていた事実が発覚した場合などです。

始末書の強制提出は違法との判決が多い

始末書の提出を任意として応じる場合は問題ありませんが、今回のように提出を拒否した場合が問題となります。

始末書の提出を拒否した従業員に対して、会社は提出を強制することができるかどうか、過去にいくつかの裁判例があります。

判例は、始末書の提出を強制することは違法との判決が多く出ています。

理由は、労働者は会社と雇用契約関係であり、労務提供の義務はあるが、個人の考えを会社から全人格的服従義務、人格的支配を受けるものではなく、「個人の意思の自由は最大限尊重されるべき」である・・・というのが理由です。

例えば、その従業員に問題があり、ミスを犯したように見えても、自分はミスを防ぐように日ごろから注意していたにも関わらず、取引先の相手に起因して問題が起こったりなど、自分では防ぐことができない不可抗力であったりというケースも考えられます。

自分では悪いことをした覚えがないのに、自分の意に反して、謝罪文を書くことを会社から強制させられるのですから、これはごもっともの判決だと思います。

事故やトラブルが起きた時は会社は素早く情報収集することが大事

最初は問題の原因がよくわからない場合は、会社は初めからトラブルの犯人を捜し、反省ありきの文書を提出させることに終始するのは得策ではありません。

まずは、トラブルになった事実を素早く報告させ、どのような対応策があるかを検討していくことが必要です。

顛末書(てんまつ)書で、「いつ」、「どこで」「何が」「どうなったのか」の事実関係を報告させる

顛末書(てんまつ)書

始末書に似た書類で顛末書というのがあります。
※名称は顛末書でなく、「経過報告書」でもいいと思います。

始末書とは、先に触れたように、反省の意味あいが強い書類となります。一方顛末書は、報告書です。つまり一部始終物事の経緯を報告するための書類です。

いつ、どこで何があったのか、どうなったのか、どう対応したのか。それをわかりやすく時系列にして報告することです。

例)
・商品のサービスに不備、商品を誤送してしまったなどのミス
・事務処理など手続きのミスがあった場合
・仕事中に事故を起こした場合

このような時に、顛末書を求めるといった感じです。

そして書く内容についてはこんな感じでしょうか・・。

・いつ、どこで、どのようなことがおこったのか
・相手の被害や損害の程度はどのくらいか
・現状での対応はどうなっているか
・今後の対策はどうするのか etc

まとめ 始末書と顛末書の違い

始末書と顛末書の違いは懲戒処分に該当するかどうかです。

多くの会社は始末書は、懲戒の種類の一つとして定められていると思います。
しかし、顛末書は初めから反省を求めるものではありません、報告書です。

従って、業務の一環として、提出義務として課すことができます。

直ぐに報告させ、文章に残すことは問題解決だけでなく、正確に記録させて、後のトラブルを防ぐ意味でも会社にとって大事なことだと思います。

始末書を求めるか、顛末書を求めるか、ケースにより使い分けるのもうまいやりかただと思います。顛末書の内容から、改めて懲戒に該当するかどうか判断するという運用でもいいと思います。

[2014.2.19追記]
関連する記事を掲載しました。
顛末書とは?提出を求める時のポイント,書き方(例文付き)

   [2013年03月01日(金)]